ぱや手法のこと。

ツイッター友達の招きねこさんのサイトで知った、「ぱや手法」が面白いので、ちらっとご紹介。
ぱやさんのブログが http://ameblo.jp/yakll/ で、配信サイトが https://www.paya-system.com/ です。
↓サイト内の説明はこんな感じ。

トレーダーの3大疾病 (!) らしい、「両建て」「マーチン」「ナンピン」について、「マーチン」「ナンピン」は過去記事で、自分の背負っているリスクを精確に把握しているのであれば有効という趣旨の説明をしたので、今日は「両建て」について考えます。



「両建て」は建て玉の相殺ですから、両建てするか決済するかどうかでの計算上の損得はありません。(あるポジションをクローズするよりも、両建てで相殺したほうがコストが安い..というか、諸事情でクローズできない場合があって、クローズの代替として使うというのは全く別の話ということで...)


計算上の損得に関係しない「両建て」が、ぱや手法でどんな役に立っているのか?は、彼女の戦略を具体的に見てゆく必要があります。最新の手法は常に改良中で非公開のようですが、3月時点での手法が、ここでPDFで配布されています。詳細はリンク先と、その前後の記事を読めば分かります。

↑それを縮小したのが上図で、黒い吹き出しの中の赤丸が買い玉、青丸が売り玉になっています。赤丸と青丸が混在している部分が両建てになっています。読めない文字はPDF原文を見てください。



この種の両建て戦略はどれも複雑でどんなエッジに賭けているのか分かり難いので、両建て部分を消して正味の玉だけにして見てみます。

↑黒い吹き出しの中が実質保有の玉です。-100〜-400 は、両建てしないで売買した時の損益です。

(1) 121円越えで 買い
(2) 120円割れで、ドテン売り
(3) 121円越えで、ドテン買い
(4) 120円割れで、様子見クローズ
(5) 122円越えで、買い
(6) 123円越えで、利乗せ買い
(7) 122円割れで、ドテン売り+同値撤退
(8) 121円割れで、利乗せ売り +5玉
(9) 120円で全決済

というトレンドフォローの流れで、(8)の時点で -400pips負けていたのを、(9)で +700pips勝って、トータル+300pipsの勝ちになっています。
両建て手法では、最初に+100、最後に +200 で同じ300pipsの勝ちですから、やはり両建ては損得に関係ありません。



個人的に両建てを上手く利用してると思ったのは2箇所あって、(4)の時点で、これ以上往復ビンタをくらわないようにクローズしている部分と、(8)の怒涛の利乗せ売りです。
(4)でドテン売りしなかったのは、同一レートの同方向の玉を4つに制限する規則(ルール2)が効いていて、ここは過去の売買履歴を参照する代わりに、現在保有している両建て玉の数を数えるだけで済ませているカタチになっています。
両建てせずに、過去に120円で何回売ったのかを過去の売買履歴を遡って数えれば同じことが出来ますが、両建てにして現在保有している120円の売り玉を数える方が楽ですよね。(ある種の生活の知恵みたいな...^^;



(8)の局面では、両建てをしない場合、4連敗(-400pips)後にようやく1勝(+100pips)できるかどうかという状況で5玉も追加で売っているのですが....、これは、臆病なトレーダーでは躊躇してしまいますよね。そもそも、4連敗するまで続けられないかもしれないし、さらに追加で5敗するかもしれない5玉を一度に売るなんて危険そのものに感じるでしょう。せいぜい、利益の出てる100pipsを利喰うのが精一杯という人が大半なのではと思います。
ところが、両建てしている場合、ここでは1玉の追加売りと、買い4玉の同値撤退だけをすることになります。同値撤退とは、121円で買った4玉を121円で売るだけですから、心理的な負担は少なくなります。


(8)で、両建て手法も非両建て手法でも、全く同じリスクを背負うはずなのに、どうして、両建てでは気楽に感じてしまうのか?は、おそらく、「同値撤退」がノーリスクだと感じてしまう錯覚や、過去に分割して売り貯めた玉へのリスクの過小評価(忘却効果や分散効果?)が原因なのかなと思います。初心者がなかなか克服できない恐怖心を、両建てが解消してくれるのなら、そういう活用法も有りでしょう。

まとめ

・両建ては、損益には関係しない。
・両建てポジションを数えることは、売買履歴を参照することの代替となり得る。(プログラミング上のテクニック)
・両建ては、リスクの心理的負担を抑えることができる。(かも。)