カオスな相場本。。

わんわん 2012/01/29 05:14
>実際は、たとえば1時間足以上のスケールではランダムウォークと同じ性質を示すが、それより小さなスケールでは
ランダムウォークではない・・・という主張を、経済物理学の本などに見ることができます。


お勧めの書籍があれば教えていただきたいです

経済物理学というと、高安秀樹氏の著作が有名です。著者名で検索して、大きな本屋であれば立ち読みできると思います。
私が過去に読んだ、経済物理学(≒相場をカオスと見る系)の本は、以下のものだけです。
入門書なら「禁断の市場」、研究書なら「株価の経済物理学」をお勧めします。株価の〜は、これを読んで必要性を判断してください。^^;



1994年 カオスと資本市場―資本市場分析の新視点(エドガー・E. ピーターズ)
1996年 「カオスで挑む金融市場―ないようで必ずある規則性を探る (ブルーバックス)(倉都 康行)
1998年 リスク再考―カオス、フラクタルを視座として (金融職人技シリーズ)(倉都 康行)
1999年 リスクテイカー(小説)(川端裕人
1999年 複雑系と相場(トニス ヴァーガ)
2001年 マネーゲームの予言者(プレディクターズ)たち―複雑系科学者、市場予測に挑む(小説)(トマス・バス)
2008(2004)年 禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン(ベノワ・B・マンデルブロ
2006年 科学が明らかにした投資変動の予測力(岩田 年浩)
2011年 株価の経済物理学(増川 純一,水野 貴之,村井 浄信,尹 煕元)

岩田先生は、株価の変動を音に変換して、この銘柄は耳障りな雑音がするから予測が難しい!といった独創的なアプローチをされていて、ちょっと別な意味でカオスちっくなんですけど、アトラクタの軌跡も観察しているのでリストに加えています。
たいていの本は、単純なランダムウォーク=効率的市場仮説の否定から始まって、フラクタル性の説明、R/S解析によるハースト指数の計算、カオスの解析に慣れる為の実例としてロジスティック方程式の紹介や、アトラクタを平面や3次元空間に書いてみただけの図があったりします。
どれも相場はカオスであるという状況証拠のようなものを挙げるだけにとどまっていて、実際に短期予測は可能なのかどうなのか?は謎のままです。なので、直ぐにはトレードの役に立たないと思います。(上に挙げた小説の中では、一応、短期予測が実現されています。笑)



面白いなと思ったのは、トニス・ヴァーガのコヒーレント市場仮説です。
これは、市場には、ランダムウォーク相場、コヒーレント相場(強いトレンド相場)、カオス相場、それらの相場間を遷移する時の不安定な相場の4つがあるだろうという説です。

↑ファンダメンタル的に相場を動かす要因があるときと無いとき、大衆が冷静に合理的な価値を判断出来るか熱狂的になっているかの2軸平面上で、相場が変わるというのです。


直感的には、上手い分け方をしている気がします。ただ、この軸で場合分けするときの判定用の閾値をどう適応的に扱うべきか、具体的なイメージがわかないので、私自身は使っていません。強いトレンド相場ぐらいは、抽出したいのですけどね...。