ランダムウォーク(1) ドル円の神様の話。

今日はMT4 と関係ない話。


よく、市場がランダムウォークだと儲けられない..と考えている人がいらっしゃいますが、私は全然そうは思いません。まず、今の市場は全然ランダムウォークではないですし、これから先も市場が完全なランダムウォークにはなり得ないと信じています。そして、市場がランダムウォークであるかどうか?と、そこに収益機会が存在するかどうか?は無関係というか、別次元の問題と捉えています。あまり難しい話をする気は無いので、単純に相場の予測可能性と収益機会の有無だけに絞って話します。
(ランダムウォーク関係の話は、豊嶋先生のサイトや、なりきりランダム論者をどうぞ..。



(1)予測不可能な相場に収益機会が存在する話
明日からドル円相場は、ドル円の神様が100面体のさいころを振って、でた目をドル円の価格とする..というサイコロ相場制になったとしましょう。
この相場では、いかなるテクニカルでも明日の価格を予測できません。ファンダメンタル投資家やニューラルネットワークで価格予測していた投資家は、これでは到底勝てない相場だと考えるでしょう。ところが、常識的な投機家であれば、この相場に対しては、50円以下で買い、50円以上で売りをすれば効率よく稼げることに気付きます。リスクを減らしたければ、20円以下で買い、80円以上で売りでも良いです。明日の価格は誰にも予想できないのに、利益が上げられる売買方法があるというのは少し不思議に感じませんか?


(2)予測可能なのに収益機会が存在しない話
今度は、ドル円の女神様が、以下のように

月曜日 90円
火曜日 91円
水曜日 92円
木曜日 93円
金曜日 94円
土曜日 (95円)
日曜日 (96円)

曜日毎に価格を決めたとしましょう。土日はFX市場は休みなので括弧内は推定価格です。月曜日にリセットされて元に戻ります。
これなら未来永劫いつの価格でも完全に予測可能です。でも…業者がスプレッドを5円に設定してきたら絶対勝てません。同様に、一般的な固定相場制も予測可能なのに収益機会が無い例です。


(1),(2)の話はただの 思考実験なので、「予測可能性と収益機会の有無は無関係である」場合も有り得るかもしれない...としか言えません。ですが、(1)の例が考えられる限り、「市場はランダムウォークであるから、予測が不可能である。ゆえに、収益機会が無い」の後半部分は絶対に正しいとは言えません。
実際の相場が完全なランダムウォークであった場合には、オプションと呼ばれる金融商品に大きな収益機会が発生します。本当にそうなったら、オプション市場に投機家が殺到するでしょう..。そして、皮肉なことに、投機家の作る巨大なオプションによる価格の壁が、相場のランダムウォーク性を壊してしまうのです。...というのは冗談ですが、今でも、オプションに絡む防戦売りや防戦買いは強烈なので、当たらずとも遠からずだと思います。





(念のため書いておきますが、(1)は、価格をランダムに決めているだけで、ランダムウォークとは言いませんからね。両者の違いは…少し考えれば分かります。^^;
「市場が効率的であるがゆえにランダムウォーク」論者は、(1)の場合、投機家は皆同じことを考えるので、サイコロで価格が決まった次の瞬間には50円に収束してしまうから、収益機会がなくなるのだ。という主旨の主張をされます。それはそれで正しいのですが、むしろ、このくらい単純で極端な例でしか市場は効率的になれないんじゃないの?と私は思います。