裁量とシストレと私。
alohafx 2011/04/01 05:44
私も最近特に完全自動売買のEAを作るのではなく、裁量の補助となる半自動EAの方が、実運用のツールとしてはコストパフォーマンスが良いのではと考えるようになりました。例えばレンジ用のEAとトレンド用のEAを裁量で使い分けるなどの方法です。以前は「うまい人が裁量でやっていることを自動化できないか？」という考え方でしたが、EAではファンダメンタルの要素を取り入れることが難しくテクニカルオンリーになってしまいます。パラメータを変えていくなどの判断方法はいろいろですが、EAを止める・動かすという判断は皆さん裁量でなさっていると思いますので、それを割り切って発展させた考え方もありだと思います。
チャーチスト faiさんはどのようにお考えですか？
裁量ではまったく勝てなくて、自動売買で勝てるようになった人(本当?)もいれば、裁量の微妙な感覚を自動化できずに諦めた人もいますし、裁量の補助となる半自動EA(手作業でラインを引くと、それに沿って売買する等)を作られている人…もいますよね。
システムトレーダーの中には、
自分の運用するシステム選択の根源的判断基準が“私はこう思う”という個人の裁量に依拠している以上、突き詰めれば裁量トレードとの本質的な差異はないといえるでしょう。引用元
と言い切る人もいます。ちなみに、引用元のKonSinさんのシステムトレードの技術と思考法や、データの本質を捉えるは、面白いので興味のある人はどうぞ。。
私としては、世の中にある問題は、人間が裁量で解きやすい問題とそうでない問題の2種類があると考えています。
数字の１から１万までの素数を列挙する問題はコンピュータに計算させた方が速いし、人間の顔と名前を一致させる問題は(高度な顔認識プログラムが組めない人にとっては）人間にやらせたほうが楽でしょう？
相場においても同様で、それっぽいトレンドラインを引くとか、そろそろ日銀介入があるかも？と予感するのは人間の方が得意だと思いますし、いつ損切りするか、利食いするかの判断（＝プロスペクト理論に従う分野）はおそらく苦手でしょう。完全裁量では、苦手な判断をより適切に行うために、
1.優位性のあるルールの発見・確立
2.ルールを守り続けられるメンタルの強化
が、やたらと強調されるのですが、現実には相場に合わせたルールの変更が必要だったりします。
ルールの遵守と変更は対立する概念なので、ルールを変えるべきときに守り続けたり、守るべき時に安易に変えてしまったりして泥沼に嵌る人が多いのかな..と思ってます。
一方のシストレは、「人間は定量的な分析結果を誤って判断する可能性は低いだろう」という信念にもとづき、良好な結果を示すシステムを作ろうとして挫折する人が多い..のかな。結局、どっちも難しいのであれば、併用するのは大いにありだと思います。
裁量の入れ方の方針としては、
(1) チャートから読み取れない外部情報に対する判断を行う。
(2) ルール化できない部分に対してのみ裁量判断をする。
(3) 裁量判断にシステム的な制約を加える。
の3種類が考えられます。
(1)は指標発表時にトレードを避けるとか、日銀レートチェックの噂が流れたら介入を警戒する等で、基本的にエントリーしない方向への判断をします。仮にその判断が間違っていたとしても、収益機会を逃すだけなので損をすることはありません。（フェイルセーフの思想…
シストレで指標を故意に避けるのはおかしい..という意見もありますけど、指標を避けまくると成績が下がるシステムは、指標時の値動きに依存しているに等しいので使いたくないです。。＾＾；
(2)は、トレンドラインを引く、複雑なインジケータの形状判断をする等ですが、相当デモで練習しないと有効性が確認できないのでお勧めしませんけど、プログラム化の手段が無ければやむを得ないかなとも思います。
(3)は、システム自体はエントリーポイントをあまり最適化せず、SL=TP=15pips固定のようなシンプルな手仕舞いにしておきます。そして、システムが85円で買い指示を出してきたら、裁量で85円以下の買いを狙います。利食いも15pips超えた時点で、それ以上の利益を裁量でねらい、15pips未満での利食いを禁止します。
こうすると、仕組みとしてシステムの期待値を損なうことなく裁量が入れられます。もちろん、85円以下でのエントリに失敗したり、15pipsの利食いを逃すこともありますけど、その時は次のチャンスを待ちます。
完全に天底を予測できるシステムが作れたら、裁量を入れる余地はありませんが、そうでなければ、システムにはエントリー可能価格帯を予測させて、その制限範囲内でエントリーするのは有りだと思います。
え？そもそも、期待値がプラスになるシステムが作れない・・・？それは困った。。orz
