信仰の道に生きる

前回の話をあまり掘り下げるつもりは無いのだけれど、そう考えるに至った背景を自分自身のために 記録しておきます。


投機の世界に入り込んだ人間なら誰でも、どうすれば勝ち続けられるのか?生き残れるのか?を考えます。
マーケットは、素人が理解できるほど単純な構造ではない…ということは、

・プロが売り出す情報商材や旬のEAを買い続ければ勝てるはず!?
・熟練者によるシグナル配信を利用する方が安全確実?
・天才アナリストによるチャート分析/マクロ分析こそ重視すべき?

と5年前は私も考えましたけど、他者依存型の生存戦略では、頼れる「他者」が居なくなった時点で共倒れします。専業で食べていこうと思ったら、自分で考えて自分で売買する自力生存の道しかありません。(それ以前に、頼れる他者が見つかりませ〜ん。。


では、自力で勝っている人はどういう人なのだろう?と想像すると…

・マーケットを研究し尽くした人だけが聖杯ルールを量産できる?
プロスペクト理論に支配される心理的弱点を克服できた人?
・チャートを何年も手描きして、変動感覚を会得した人?
システムトレードの王道を歩んでいる?
・単に資金管理さえ出来ればよい?

などと、相場書に描かれた勝ち組のイメージが浮かびます。
多くの著者が主張する、「時間と手間を惜しまず努力した者だけが勝ち残る」という言葉は、とても心地よいものです。
そして、それができる人間が少ないから、マーケットには勝ち組が少ないのだ…という解釈は、一見、正しいように思えます。




…でも、現実はかなり違うでしょう。
単に努力した者が勝ち残るのなら、時間の経過とともに、市場には努力した者が多数を占めてしまうはずです。投機の難しさは、努力した者同士が争ってもなお、少数の人間しか勝てないところにある…そう、考えるようになりました。



その考え方が当てはまる投機市場モデルが

市場は常に変化している。変化に最初に適応した者が勝つ。

ということかなと思っています。これなら、プロ同士が争っても一部の者しか勝てないという条件を満たします。もちろん、インデックス投資原理主義者が言うような、

市場は十分に効率化されている。だから、宝くじを当てるのと同じで、運の良かった者が勝ったにすぎない。

というモデルも条件に合いますが、私の目には全然そう見えないので却下します。




市場は変化している…。当たり前すぎる言葉なのに、その実態はつかみどころがありません。客観的な事実として、確かに、ボラティリティは変化していますし、トレンド相場とレンジ相場に分けることもできるでしょう。だから、ボラティリティ適応的なシステムを作ればよい、トレンド相場とレンジ相場でシステムを使い分ければよい…誰でもそう考えます。



…しかし、、誰にでも思いつくことをしていては、他人を出し抜けないじゃないですか??

ボラティリティ”の計算方法、予測方法は無数にあって今も改良され続けている。
投機相場では、トレーダーは、”ボラティリティ”変化への対応速度を競い合っている。
…だから相場は難しい。

上記の”ボラティリティ”の部分は”トレンド”でも”レンジ”でも何でも変えてもらってよいですが、こんなチキンレース?を繰り返すのが投機の本質だとしたら、私はかなり憂鬱になります。長期にわたって生存し続けられる自信が持てませんので。


ただ、実際の値動きでは、ボラティリティの変化はかなり連続的ですし、トレンドもレンジもそれなりに安定して存在しています。
…ということは、チャートから誰でも簡単に読み取れる情報である ボラティリティ/トレンド/レンジ の変化への対応速度を競うことは、投機ゲームで勝つための本質ではないのかもしれない。…と私は思ったのです。
(もし全員がそれを競っていたら、値動きは異常に不安定なカタチになるはず...なので。但し、スキャルパーとスインガーが独自の時間軸で競っていたら、私の考えは微妙に間違ってるかもしれない。


投機ゲームの本質はもっと奥深いところにあって、

何かが起こる->市場参加者が売買行動を変える->結果として、ボラティリティ/トレンド/レンジ が変化する

という構造だとすると、「ボラティリティ/トレンド/レンジの変化への適応」は、負けないための必要条件(=負けたくなければ適応しなくてはならない)であっても、それだけではトータルで勝ち越せない..ことになります。(イメージとしては最下位争いをする感じ…



だから、偉大な先人たちは、「値動きの背後にあるファンダメンタルを研究せよ!」としつこく仰せられるのだと思うのです…。


ところが、FXのファンダメンタルは複雑怪奇ですし、銘柄毎に研究し直さないといけないのは大変です。研究手法自体は応用が利いても、研究成果の汎用性は低いはずです。そこで、

値動きの背後にあるファンダメンタルの動きから、値動きを予測=王道

↑王道は、あきらめて

値動きから、値動きの背後にある何かの動きを逆推定。その何かの動きから、値動きを予測=オカルト?

というアプローチを始めました。(コンセプトは、Phaiさんのくりっく365逆張りシステムが外部情報に多数派の動向を見出すのに対して、私はあくまでも値動きの中にそれを見つけようとしている感じです。

理想は、今この瞬間に世界中のEURUSDトレーダーがどんな戦略を取っているのか推定することですが、さすがに値動きからは情報量が少なすぎて分かりません。もっと単純でトレーダーの存在分布を上手く分離分類できて、値動きから逆推定できる指標のような何かを仮に「リスクの大きさ」としました。私が勝手にそう言っているだけで、経済学上のリスクとは関係ありませんし、そもそも計算式がありません。(あははさんが理解出来ないのも当然です..^^;
ただ言えるのは、「エントリーとイグジットが同じ位置だった人は同じリスクを取っている」ということだけです。


さすがに逆推定のやり方はここに書く気力が無いのですが、

・導入する仮説は単純明快なものにする
・少ないサンプル数から推論する仕組みを作る(ラグ対策)
・意思決定はフェイルセーフ志向(推定精度が低いので)
・結果を分かりやすく可視化する(間違いを見つけやすい)
・多数派は空間上に複数存在する
・価格の予測はできない状況の方が多い≠つまり役に立たない^^;

という点を参考にせずに泥沼にはまるのが良いと思います。




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